混合診療について
弁護士法人四ツ橋総合法律事務所代表弁護士の植松康太です。
この動画では、歯科医院の経営、特に自由診療を多く扱う場合にとても重要でありながら、正確に理解されていないことも多い「混合診療」について、その内容を解説したうえで、例外的に認められる場合、及び、注意すべき点をお伝えします。
厚生労働省は、保険診療と保険外診療を併用するいわゆる「混合診療」を原則として禁止し、これに該当する場合は全体について自由診療として扱うとしています。
厚生労働省は、混合診療を禁止する理由として、
本来は保険診療により一定の自己負担額において必要な医療が提供されるにもかかわらず、患者に対して保険外の負担を求めることが一般化することで患者の負担が不当に拡大するおそれがあること、及び、安全性、有効性等が確認されていない医療が保険診療と併せ実施されることで、科学的根拠のない特殊な医療の実施を助長するおそれが生じることをあげています。
もっとも、混合診療にも例外が認められており、保険外併用療養費として評価療養と選定療養がそれに該当します。
評価療養とは、保険導入のための評価を行うものであり、
- 先進医療
- 医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療
- 薬事法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用
- 薬価基準収載医薬品の適応外使用
(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの) - 保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用
(使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの)
が列挙されています。
これに該当するかどうかは、医療機関からの申請を受けた先進医療会議が審査を行い、認められた医療に限り実施が認められています。
選定医療とは、保険導入を前提としないものであり、歯科医院に関係するものとしては、
- 金合金などの使用
- 金属床総義歯
- 小児う触の指導管理
- 予約診療
- 時間外診療
などがこれに該当します。
保険外併用療養費を患者様から徴収する際の要件などの詳細は、「「療担規則及び楽担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」という通知に定められています。
多くの歯科医院で導入されている予約診療についても1日の診療数などが定められていますので保険外併用療養費を請求する際には一度、詳細を確認されることをお勧めします。
次に、保険外併用療養費以外にも混合診療に該当しない場合についてご説明します。多くの歯科医院が扱っている自由診療に密接に関わってくる内容となります。
厚生労働省は、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」という通知のなかで、「保険(医療)給付と重複する「サービス」又は「物」については、その名目の如何を問わず患者から費用を徴収することは認められない」と規定し、「保険(医療)給付と重複する「サービス」又は「物」とは、原則として治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」又は「物」をいう」としています。
言い換えれば、治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」又は「物」でない場合には、患者様から費用を徴収できることになります。
では、どのような場合に費用を徴収できるのか。
その具体例を挙げているのが、「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」という通知です。
自由診療を行う歯科医院にとってはこの通知がとても重要な内容となってくるので正確な理解が必要です。
「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」
(令和2年3月23日一部改正)より抜粋
1.費用徴収する場合の手続について
療養の給付と直接関係ないサービス等については、社会保険医療とは別に提供されるものであることから、もとより、その提供及び提供に係る費用の徴収については、関係法令を遵守した上で、保険医療機関等と患者の同意に基づき行われるものであるが、保険医療機関等は、その提供及び提供に係る費用の徴収に当たっては、患者の選択に資するよう次の事項に留意すること。
2.療養の給付と直接関係ないサービス等
療養の給付と直接関係ないサービス等の具体例としては、次に掲げるものが挙げられること。
(4)医療行為ではあるが治療中の疾病又は負傷に対するものではないものに係る費用
ア インフルエンザ等の予防接種、感染症の予防に適応を持つ医薬品の投与
イ 美容形成(しみとり等)
ウ 禁煙補助剤の処方(ニコチン依存症管理料の算定対象となるニコチン依存症(以下「ニコチン依存症」という。)以外の疾病について保険診療により治療中の患者に対し、スクリーニングテストを実施し、ニコチン依存症と診断されなかった場合であって、禁煙補助剤を処方する場合に限る。)
エ 治療中の疾病又は負傷に対する医療行為とは別に実施する検診(治療の実施上必要と判断し検査等を行う場合を除く。) 等
(5)その他
ア 保険薬局における患家等への調剤した医薬品の持参料及び郵送代
イ 保険医療機関における患家等への処方箋及び薬剤の郵送代
ウ 日本語を理解できない患者に対する通訳料
エ 他院より借りたフィルムの返却時の郵送代
オ 院内併設プールで行うマタニティースイミングに係る費用
カ 患者都合による検査のキャンセルに伴い使用することのできなくなった当該検査に使用する薬剤等の費用(現に生じた物品等に係る損害の範囲内に限る。なお、検査の予約等に当たり、患者都合によるキャンセルの場合には費用徴収がある旨を事前に説明し、同意を得ること。)
キ 院内託児所・託児サービス等の利用料
ク 手術後のがん患者等に対する美容・整容の実施・講習等
ケ 有床義歯等の名入れ(刻印・プレートの挿入等)
コ 画像・動画情報の提供に係る費用(区分番号「B010」診療情報提供料(Ⅱ)を算定するべき場合を除く。)
サ 公的な手続き等の代行に係る費用 等
(4)に、医療行為であっても治療中の疾病または負傷に対するものでなければ費用請求ができると書かれていることから、予防、健康増進、美容形成などが目的の医療行為であれば混合診療に該当せず費用を請求できることになります。
混合診療における注意点
①病院が異なっていれば混合診療に該当しない。
治療する疾病または負傷が同一であれば混合診療に該当します。結果として保険診療で受診した病院分も自由診療となります。
②保険診療と自由診療のカルテを分ければ混合診療に該当しない。
カルテが同一かどうかではなく治療する疾病または負傷が同一であるのかどうかが判断の基準となるので混合診療に該当することになります。
③受診の日時が離れていれば混合診療に該当しない。
治療中の疾病または負傷に対する一連の医療行為と判断されれば混合診療となり全体が自由診療となります。
ここまでお話してきましたが、実際の医療行為が「治療中の疾病または負傷に対する一連の医療行為」に該当するのかどうかは、慎重な判断が必要な極めて微妙なものといえます。
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最後までご視聴いただき、ありがとうございました。