歯科医院の開設について
弁護士法人四ツ橋総合法律事務所代表弁護士の植松康太です。
歯科医院を開設するに際しては、理想とする歯科医院像や将来のビジョン、今後の展開などについて大きな期待感を抱いていらっしゃると思います。
それとともに、自らの理想を実現するにはどのような形態で開設するのが良いのか、開設後にどのような対応が必要になるのかなど診療以外の点について悩みや不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
この動画では、歯科医院開設に関する悩みや不安を解消するため、まず、どのような開設形態があるのかをお話させて頂き、それぞれの開設形態によるメリット、デメリットについて解説していきます。
歯科医院の開設形態としては、大きく分けて、
- 歯科医師個人として開設
- 医療法人として開設
- 非営利法人として開設
があります。
歯科医師個人による開設・医療法人による開設の比較
歯科医師個人による開設、医療法人による開設のメリット、デメリットの理解を容易にするため双方を比較しながらご説明します。
| 個人 | 医療法人 | |
| 保健所 | 届出で足りる | 開設許可申請が必要 |
| 都道府県 | 不要 | 設立認可申請が必要 |
| 法務局 | 不要 | 設立登記が必要 |
| 都道府県との関係 | 特になし | 毎年都道府県への届出が必要 |
| 分院開設 | できない | できる |
| 税金 | 不利・対策が困難 | 有利・対策できる場合がある |
まず、開設に関する手続きについては、個人開設の方が簡易といえます。
個人の開設は届出制であり保健所や都道府県との事前の折衝等も不要であり手間や時間は比較的かかりませんが、医療法人は都道府県に対する設立認可申請、保健所に対する開設許可申請、法務局への設立登記が必要なため手続きが複雑です。
これに伴い、専門家に手続きを依頼した際の費用も医療法人の方が高額になる傾向にあります。
設立後ですが、個人の場合は都道府県への報告等は不要ですが、医療法人は毎年届出が必要となります。
届出を毎年するので運営等について指導を受けやすいともいえます。
次に分院開設ですが、医療法は、原則として同一人物が複数の医療機関の管理者になることを認めていないこと、及び、歯科医院の開設者が歯科医師であるときは原則として自らその歯科医院の管理者になることを定めていることから、個人開設の場合は分院を開設することができません。
これに対して、医療法人は、都道府県に対する定款変更認可申請と保健所に対する開設許可申請を行えば分院を開設することができます。分院開設は医療法人として設立する大きなメリットといえるでしょう。
次に税金ですが、個人の所得税は所得が高くなるほど税率が高くなる累進課税となっています。法人税は最高でも約23%となっており、比較すると所得が高くなるほど法人税の方が税率は低くなります。
(所得税)
相続についても、個人開設の場合はそもそも歯科医院を贈与するということ自体が困難ですが、医療法人の場合、出資持分があれば一部を少しずつ贈与することで対策ができる場合があります。また、特分の定めのない医療法人であれば、相続する権利がそもそもないため相続税が課されることはありません。
出資持分のある医療法人においても、移行計画認定制度の申請を行うことで税金面の優遇を受けることができます。
このように、それぞれにメリット、デメリットがありますのでご自身の考えに合った方法を選択して頂ければと思います。
非営利法人としての開設
次に、非営利法人として開設する場合について、ご説明します。
厚生労働省は、「医療法人以外の法人による医療機関の開設者の非営利性の確認について」という通知を出しており、この通知の中で、「近年、特定非営利活動法人や、今般の公益法人制度改革による一般社団法人・一般財団法人など、従来の法人と比べて簡易な手続きで法人を設立できる仕組みが整備されてきていることから、・・・「医療機関の開設者に関する確認事項」については、従来以上に慎重に確認の上、対処されたい。」と記載しており、一般社団法人、一般財団法人が医療機関を開設することを前提としています。
ここでは、一般社団法人による開設について、メリット・デメリットをお話させて頂きます。
一般社団法人には定款の違いにより、「営利型」と「非営利型」に分けられますが、歯科医院を開設することができるのは、理事の合計数における親族の割合などの要件を満たした「非営利型」のみです
メリットとしては、
- 医師でなくても代表理事になることが可能
- 医療法人と比較して都道府県の認可が不要なため迅速に設立することが可能
- 医療法人と同様、個人開設と比較して税金面で有利
- 一定の条件を満たせば相続税が課されない
- 都道府県の指導監督下にないので原則として指導を受けない
- 都道府県に対する定期的な届出が不要
デメリットとしては、
- 診療所の開設が許可されない場合がある
- 保健所に対して医療法人で設立しない理由等の説明が必要になることがある
- 開設許可の申請の前例が少ないため、許可までに時間がかかる可能性がある
一般社団法人で歯科医院を開設する場合は、一般社団法人で開設しても運営に支障が生じないことや非営利性が徹底されていることについて、十分な準備が必要になってきます。
ここまで歯科医院の開設についてメリット、デメリットをお話してきましたが、開設当時の家族構成や年齢、準備している開設資金がどの程度あるのか、専門家の知り合いがいるのか、不動産が確保できているのかなど個別の事情によって、進め方や考慮する要素は千差万別といえます。
当動画をご覧いただき、ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
私たちは貴院の成功を全力でサポートいたします。
最後までご視聴いただき、ありがとうございました。